マーケティングを学ぼう!第2回 顧客価値を理解する

知識の泉

「マーケティングを学ぼう!第2回」は、「顧客価値を理解する」がテーマです。

お客様は何に価値を感じるのか?

これをしっかり学んで理解することで、その場しのぎのテクニックだけではない、マーケティングの本質を理解する大きな手助けになりますので、ぜひとも活用してもらえればと思います。

マーケティングとは「売れている状態を作り出す」こと

第1回では、「マーケティングとは?」として「マーケティングの概念」について学びました。

そこでは、マーケティングとは「売れている状態を作り出す」ことであり、「売れている状態」とは、「お客様が自然に買いたくなる」状態であることを学びました。

そして、「お客様が自然に買いたくなる」ためには、製品やサービスに顧客価値がある状態、つまりは「お客様が価値を感じている」状態が必要でしたね。

まだ第1回を読んでいない、もしくはもう1度復習したい方は以下からどうぞ。

マーケティングを学ぼう!第1回 マーケティングとは

さて、それでは第2回では、「顧客価値」について深堀りしていきます。

人が価値を感じる仕組みを理解すればモノが売れる、つまりはマーケティングがうまくいっているということですから、とても重要なポイントです。

人が価値を感じるとは?

「顧客価値」を理解するためには、「人がどんな時に価値を感じ」、「何に価値を感じる」のか、そして「価値」にはどういった種類があるのか、を知る必要があります。順番に見ていきましょう。

どんな時に価値を感じるのか?

あなたはどんな時、どんな瞬間に「価値」を感じるでしょうか?

様々な場面で人は価値を感じますが、代表的なものをいくつかあげてみましょう。

  • 値段(コスト)以上の満足を感じた時
  • 手に入れた後の良い未来を想像できる時
  • 手に入れることで劇的な変化が起こる時

それぞれ詳しく見ていきましょう。

値段(コスト)以上の満足を感じた時

これはとてもわかりやすいと思いますが、あなたが何かの商品を手に入れたり、サービスを受けたりする時に支払ったお金や時間、労力などのコストよりも、商品やサービスから得られた満足感が上回る時です。

そのため、簡単に手に入る、とても安く手に入るなど、必要なコストが少ない場合には、商品やサービス自体のクオリティがそこまで高くなくてもある程度の価値を感じることが多くなります。

一方で、非常に高価な商品やサービスであったり、手に入れるのがとても大変なものだと、「これだけの金額を払ったんだから」とか「こんなに苦労して手に入れたんだから」と期待のハードルがかなり高くなりますので、クオリティもかなりのものが必要となります。

もちろんコストと価値のバランスは人によって違いますので、その人がどういった価値観を持っていて、何を重視するかによって、同じ商品やサービスでも満足する人としない人が出てくるのはお分かり頂けると思います。

手に入れた後の良い未来を想像できる時

これはどういう事かというと、例えばあなたが何かの商品に興味を持ったとします。

そして、その商品を買ったらあなたの生活が良くなる、人生が良くなる、とイメージできた時、あなたはその商品に価値を感じるはずです。

つまり、「買った後の良い未来を想像できる商品・サービス」に人は価値を感じるということですね。

例えば分かりやすい例ですと、ダイエット商品などがあります。

ダイエット商品は、それを使うことで「あなたが今よりも痩せて美しく、かっこよくなり、人生が良くなる」といったイメージを持たせるような宣伝方法を取ることが普通ですが、それはつまり、興味を持った人が使用後の素敵な自分を想像してワクワクすることで価値を感じてもらい、購入意欲を高める効果があるからです。

しかし、どんなに魅力的なイメージを見せたとしても、うまくいかない場合があります。

それは、「実現可能性が低い」と感じられた場合です。

つまり、「たしかに良さそうだけど、そんなにうまくはいかないだろう」「それは無理だろう」と思われてしまうと、どんなに魅力的なイメージを持たせようとしても価値を感じてもらえない、というわけです。

そのため、「未来のイメージが魅力的」なのはもちろん、「実現可能性が高い」と感じさせることもとても重要です。どちらかが欠けてもベストな効果は得られません。

買った後の良い未来がイメージできなかったり、あるいはイメージできる未来が魅力的ではなかったり、イメージの実現可能性が高いと思えなければ、お客様は価値を感じないのです。

逆に、魅力的な未来をしっかりイメージしてもらい、さらには自分にも実現可能だ、と思ってもらえれば、その顧客は高い価値を感じ、高いお金(コスト)を払ってでも手に入れたいと思うのです。

手に入れることで劇的な変化が起こる時

これはあまりすぐにはピンとこないかもしれませんね。状況としては、「あなたが本当に本当に困っている時、ピンチの時」を想像してみると良いかもしれません。

例えば、あなたはペットボトルの水が1本1万円と言われたら、買うでしょうか?

「そんな高い水、買うわけないでしょ!」

大抵の人はそう言うと思います。普通の状況なら私もそう言います。

しかし、もしあなたが、「砂漠で遭難して生死をさまよっており、もう3日も水を飲んでおらず、いまにも死にそう」な状態だとしたらどうでしょうか?

極限状態にある人にとっては、その提案を断ることはとても難しいのではないでしょうか。場合によっては、感謝さえするかもしれません。

つまり、「手に入るモノやサービス」があなたにとって、「あまりにも劇的な変化を起こすもの」特に良い方向に変化を起こすものには、人は価値を感じやすいということです。

実はこういった商品やサービスは世の中にあふれています。悩みや困りごと、ピンチを助けてくれる商品やサービスは高額なものが多いですが、それを心から必要としている人たちにとっては、非常に高い価値を感じるものなのです。

もちろん、そういった人間心理を悪用した詐欺的な商法も昔からありますので、気をつけなければいけないのは言うまでもありませんが、知識として知っておくだけで、思わず衝動買いをしてしまう前に、一度冷静になって価値を判断できるようになるはずです。

何に価値を感じるのか?

人は何に価値を感じるのでしょうか?

価値を感じるものは人それぞれではありますが、一般的に多くの人が価値を感じやすいもの、というのはあります。例えば、以下のようなものが代表的です。

  • 希少性のあるもの
  • 付加価値の高いもの
  • 機能的価値が高いもの
  • 情緒的価値が高いもの

それぞれを詳しく見ていきましょう。

希少性のあるもの

「希少性のあるもの」とは「希少価値が高い」という言葉で表されたりもしますが、要は「貴重なもの」ということです。

数が少ないものであったり、失ったら二度と手に入らないものなど、手に入れるのが非常に困難であったり、莫大なコストがかかったり、失うとあまりにも影響が大きいものなどです。

もちろん、そこまで大げさなものばかりとも限りませんが、少なくとも人は「手に入りにくいもの」「失うのが惜しいもの」には高い価値を感じやすい、というわけです。

「希少性のあるもの」はなにも物質だけとは限りません。「時間」もその1つです。

なぜなら、「時間」は誰にとっても1日24時間だけ与えられており、それはお金があろうが無かろうが、権力があろうが無かろうが、平等です。

「Time is money. (時は金なり)」という有名な言葉があるほど、その価値はみんなが感じています。

そんな自分の貴重な時間を節約したり、本当に使いたいことに使うために、世の中には多くのサービスがあり、人はそれにお金を払います。

似たような考え方ですが、「面倒くさいと思うこと」もそれに近いと思います。

「面倒くさい」ということは「できれば自分の貴重な時間を使いたくないこと」というわけですから、お金を払えば誰かが代わりにやってくれるのであれば、その方が良いと考える人がいるのも当然で、そのためのサービスも生まれるわけです。

マーケティングを考える上では、自身の商品やサービスが「希少性を感じてもらえるものかどうか」というポイントは重要な要素の1つとなります。

付加価値の高いもの

「付加価値」とは、簡単に言うと、商品やサービスそのものが持っている価値に、さらにプラスアルファで付け加えられた価値のことです。

一般的には企業努力などによって、他社の類似商品や類似サービスと差別化し、お客様に自社を選んでもらうためのもの、と言えます。

もちろん、どんな価値でも付加さえすれば良い、というものではなく、該当の商品やサービスを購入してくれるお客様が価値を感じてくれるものでなければ意味がありません。

同じ内容で同じ価格であれば、ちょっとしたサービスが付いているだけでも意外とうれしいものですので、あなたの身の回りでも非常によく活用されているはずです。

例えば、ランチを選ぶ際に、どちらも同じような内容の定食で、価格も味も大差ないお店が2つあった場合、一方がデザートを1品サービスしているのであれば、なんだか得した気分になり、ついデザートサービスがある方を選びがちになるのではないでしょうか。

もちろん、デザートをサービスする以外にも、「居心地の良い空間でランチタイムをゆったりリラックスして過ごせる」とか、「お店のスタッフの対応が素晴らしく、料理が出てくるのも早い」といったモノ以外の付加価値でも差別化は可能です。

もしあなたが他と差別化したい、と考えている場合は、視点を広げながら、「あと少し、何があればお客様は喜んでくれるだろうか」と考えてみると良いでしょう。

機能的価値が高いもの

「機能的価値」とは、簡単にいうと「モノとしての機能やはたらき、特長」などのことです。

そして「機能的価値が高い」とは、「道具としてすぐれている」「機械としてすぐれている」といった状態のことです。

例えば、車であれば「馬力があって速い」とか「燃費がとても良い」とか「乗り心地がとても良い」といったものです。

スマホであれば「画面がキレイ」とか、「処理が速くてサクサク動く」、「防水防塵機能がある」といった感じです。

この機能的価値は特に男性に響きやすいと言われ、なにか1つの商品を買おうと思った時に、複数のメーカーや競合となるモデルを比較し、スペックを比べるといった事をよく行ないます。

情緒的価値が高いもの

これは少し馴染みのない人も多いかもしれません。

「情緒的価値」とは、「情緒に作用した結果得られる価値」のことです。

もっと簡単にいうと、「かっこいい」とか「カワイイ」とか「高級感がある」といったように、感情に訴えかけてくる価値のことです。

つまり、類似商品であっても、「よりかっこいい」「よりカワイイ」「より高級感がある」とお客様が感じる方が「情緒的価値が高い」と言えます。

これは特に高級なモノやサービスに多くみられ、高級なモノやサービスは機能的価値よりも情緒的価値が優れていることが多いのですが、これはなんとなく実感できるのではないでしょうか。

ようは「ブランド価値」であったり「ブランド代」とも言えますが、ある程度の価格以上になると、商品やサービスの機能的価値は価格に比例しにくくなります。

つまり、高くなればなるほど機能も良くなる、というのには限界があるということです。

では、なぜ機能的価値が同じなのに、時に何倍ものお金を払う人がいるのでしょうか。

それこそが情緒的価値によるものです。

例えば、食事をする場合を考えてみましょう。

単に「お腹を満たす」ためだけであれば、必要な機能的価値を満たしていれば良いので、安い方が良いと考える人が多いでしょう。

しかし、そこに「優雅さ」「心地よさ」「雰囲気」などを求める人にとっては、同じ「食事」という行為をするのでも、高いお金を払って高級レストランや高級料理を選ぶのです。

つまりは、「情緒的価値」にたくさんのお金を払い、そこに価値を感じている、というわけです。

もちろん、これはどちらが良い悪いではなく、どこに価値を感じているか、という違いですので、マーケティングに活かす場合には、ターゲットとするお客様をどちらにし、どういった価値を提供するかで全く変わってきます。

顧客価値の4段階

最後に、「顧客価値の4段階」についてお伝えしたいと思います。

これは「サービスマネジメント革命」の著者でもあるカール・アルブレヒトが提唱した考え方で、顧客価値を4つの段階に分けて定義づけしたものです。

その4段階とは以下のようなものです。

  1. 基本価値
  2. 期待価値
  3. 願望価値
  4. 予想外価値

それぞれを簡単に解説していきます。

基本価値

基本価値とは「顧客価値の4段階」において一番ベースとなるもので、顧客価値の土台、基礎となるものと言っても良いかもしれません。

「基本価値」は「絶対不可欠な価値」であり、お客様にとっては「提供されて当然」と思われる価値です。

そのため、万が一提供されない場合には、クレームになったり、お客様が離れていってしまう原因になったりもします。

期待価値

第一段階の「基本価値」は「なくてはならない価値」でしたが、第二段階の「期待価値」も、お客様にとっては「当然のように期待する価値」です。

そのため、もしも「期待価値」が提供されない場合、クレームまでにはならないまでも、お客様は失望し、リピートにはつながらないため、とても大事な要素と言えます。

願望価値

第三段階にあたる「願望価値」は、お客様にとっては「期待はしてはいないものの、あればうれしい価値」です。そのため、提供されなくても不満にはならないですが、提供されると高い満足度につながります。この「願望価値」をうまく提供していくことが顧客満足度を高める1つの大切な要素と言えるでしょう。

予想外価値

「顧客価値の4段階」の最上位にあたるのが、「予想外価値」です。

「予想外価値」はその名の通り、お客様にとっては「予想を大きく超える価値」であり、すなわち「うれしいサプライズ」と言えます。

そのため、「予想外価値」を提供できたならば、お客様に感動を与えることができ、良い口コミにもつながります。もちろんリピートしてもらえる可能性も大いに高まるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、「顧客価値を理解する」というテーマで、

  • 人がどういったときに価値を感じるのか
  • 人は何に価値を感じるのか
  • 顧客価値の4段階

について学びました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもあなたのお役に立てたなら嬉しいです。

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